インドネシアの学校保健活動(UKS)に初参加して驚いたこと

こんにちは、みどり(@hiju39)やで。

2022年8月4日、今年度初めてのUKSがあったので参加したよ。
UKSは学校保健活動のこと。
「インドネシア/ロンボク島だと保健教育もこうなるのか!」と驚いたことがいくつかあったのでシェアします。

じゃ~、いってみよ~。

インドネシアの学校保健活動って?

UKS(Usaha Kesehatan Sekolah)とは、学校保健向上を目指す運動の名称です。インドネシア全土の保育園から高校まで各校で取り組まれています。

日本では学内に保健室がありますよね? でも私の勤務校には保健室はなく、養護教員もいません(※インドネシア国内にも保健室や養護教員がいる学校はあります)。そのため、保健活動チームが様々な活動を行います。

保健活動チームは任意の生徒(保健委員)と指導教員からなります。保健所と連携することも多いですよ。主な活動内容は次の3点です。

・保健教育の提供…日本の保健の授業に相当
・保健サービスの提供…虫下しの薬や造血剤の配布、身体測定など
・学校の保健/衛生環境の整備

私は青年海外協力隊の栄養士隊員として西ロンボクの保健所で活動していた経験があることから、今年度からこのUKS(学校保健活動)チームの指導教員の一人に指名されました。勤務校の指導教員は guru BKと呼ばれる、日本のスクールカウンセラーに近い役割をもつ先生(授業は担当していない)と私の二人のみ! うゎお。

保健所の出張授業の内容

今日は、保健所の職員による出張授業と身体測定の日でした。身体測定は身長と体重の測定で、2-3年生が対象。出張授業は1年生の保健委員15人が対象です。

出張授業では駆け足でたくさんのことを学びました。

1.生殖器の話
2.薬物の話
3.心の健康の話

これらを90分でザッーと詰め込み!!かなりの濃度です。

↑男性生殖器の講義中。真剣に聞いています

学校保健活動チームは今日の授業を参考に、1年間かけて学内での保健活動を計画し、実施します。

保健所の出前授業に参加してビックリしたことTOP3

今回、私が驚いたのは大きく3つあります。

1)生殖器の話をしていたこと

10年前、青年海外協力隊でロンボク島へやってきた頃は、同期の助産師や保健師の隊員から「中学生や高校生に性教育を行いたいけど大人の許可を得にくい」と聞いていました。

インドネシアはイスラム教徒が大半をしめており、イスラム教では婚前交渉はもたないことになっています。なので、早期に性教育など必要がないと考えられていたためです。

でもいまや、情報なんてどこからでも得られますものね。ネット上の玉石混淆の情報よりも、正しい情報を提供することになったようです。時代は変わったのね!

↑指導教員に配布された、ティーン向け保健教育教材の一例。とてもわかりやすいです。Youtube で公開されているのでインドネシア語での性教育や保健教育を考えていらっしゃる方はぜひご覧ください。

2)薬物の話がめっちゃリアルだったこと

残念ながら、私の勤務校の校区内ではちょっと油断するとすぐに薬物に手を出せる環境にあります。「パーティーアイランド」の異名をもつリゾート離島を震源として、薬物がそこらで流通しているのです。

勤務校の生徒たちは卒業後にこれらの離島で働く可能性が高いです。そのため、安易に薬物に手を出さないように特に強く注意喚起を行っています。ちなみに、薬物の話はこの校区内では中学校でも行うのだそう。

でね、もうこの薬物の話がリアルなこと! なぜかって、生徒にも教員にも(!)薬物を使用したことのある人がいるからなのです。マジックマッシュルームですけどね、自生してるのよ、そのへんで。

今回も、「キノコも含めてドラッグやったことある人、いるかなぁ」という問いに男子生徒たちが「はーい」と呑気に手を上げていました。

ぎょぇえええ。そこ、挙手しちゃうのっ!? この生徒たちは「一度だけ試したことがある」程度でしたが、わたしゃあ、久しぶりにロンボクの洗礼を浴びましたよ。

こうした環境にいれば、保健所職員の知識も対応策も自然と増えるというもの。生殖器の話がわりと教科書的だったのに対して、薬物の話は(これまで薬物を使用した人から聞いたのであろう)実例・実体験的が豊富でした。

また、保健所の職員たちは生徒の話を顔色一つ変えずにウンウン頷きながら受け入れていました。怒らないんだなぁと、とても印象的でした。こういう聞き方をしてもらえると、生徒も安心ですよね。

3)メンタルケア用アンケートの結果がかなり危うかったこと

授業半ばで、保健所の職員からアンケートが配られました。アンケートは直近30日間の自分自身の様子について、20個の質問に当てはまるかどうかをYES/NOのどちらかで答えるものです。質問は、たとえば、「食欲がないと感じますか」「寝付きが悪いと感じますか」などです。

その質問のなかに「自分の人生を終わらせたいと考えますか」という問いがありました。生徒が質問の内容を確認したところ、保健所の職員は「(この30日間で)自死を考えたことがあるかという意味ですよ」と答えました。

何よりショックだったのは、生徒が「自死を考えたことがある」と答えていたことです。

私は思わず「わっ」と声がでました。ロンボク島の住民の多くを占めるイスラム教徒は自殺が禁じられているため、普段ほとんど自死の話を聞くことがありません。タブーっぽいかんじすらあります。まさかダイレクトに自死という単語を聞くことになるとは…。ちょっと心の準備ができていませんでした。反省です。

私の感じたこと、収穫など

驚きはしましたが、今回の授業をとおして私も感じたこと・得たことがたくさんありました。一言でいうと、教師としてもっと学び準備せねばならぬことが多いと思いました。

保健所内に「若者のカウンセリングコーナー」があって、無料でカウンセリングを受けられることを知ったのも大きな収穫!

学校保健チームは生徒たちの心と体の健やかさを育む大切な役割を担っていますが、私には力の足りないところが多々あります。今日保健所の職員さんたちとも繋がれたし、協力のお願いもできました。

いつも助けてもらってばかりですが、私の力は小さいですから、「助けてもらい上手」になってチームで大きな力が出せればいいなと思います。焦らず着実にね!

じゃ、今回も最後まで読んでくれてありがとう。
お互いサマサマ幸セナン♪

(みどり/Midori Rahma Safitri @hijau39)

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