さっき呼んだのにまた? 姑サーちゃんの頭の中

なんだか今日はずっとサーちゃんに呼ばれていたような気がしている。

ちょっと数えてみたら、10回だった。
6時間睡眠として、一日18時間のうち10回。

単純計算で、1時間半~2時間に1回は呼ばれたことになる。

え!新生児の授乳時間より間隔短いやんか!!!
道理で私の時間がとれないわけだ。

今日は、10回のうちの2回に声を荒げ、1回はムスッとしちゃったけど、それも仕方ないね!(開き直り重要)

声を荒げたのは、こんなシーンだった。

「ココナッツ買ってきて。2000ルピアね」

サーちゃんにそう頼まれて、「はーい」と返事をした。

ココナッツを削ったものを頭皮に擦りこむと、洗髪後のトリートメントの役目をはたしてくれる。サーちゃんはこのココナッツトリートメントが大好きなのだ。

市場に行かなきゃ…と家へ入り、準備をはじめる。

そのとき、また呼ばれた。「みどりーーーー!!!」

私はお手洗いに入っていた。
返事をしても聞こえないようで、大声で何度も呼んでいる。
おいおい、お手洗いだよーーー!

サーちゃんからは見えないので、娘に「おばあちゃんに、ママはトイレだよって伝えてきて」と頼んだ。

「もうココナッツは買ってきたのか?」という催促だった。
今から行ってくるよ!フン!

お手洗いから出た私はズンズンとサーちゃんのほうへと向かった。

「あのねぇ、お母さん!! 私もいろいろやることあるのよ。お母さんに言われたことをすぐにできるとは限らないの。そんな大きな声で何回も呼ばないでちょうだい。急かされてるみたいでいい気がしないわ」

強く主張したつもりだが、サーちゃんはさらりと答えた。

「暇なんだと思ったよ」

コケッ。
悪気はないんだろうけど、「わたしゃあなたに呼ばれてあれしてこれしてと、忙しいんですよ、けっこう」と言いたくなった。

最近のサーちゃんは、「1回呼んだのに、すぐまた呼ぶ」ということが何度かあった。今日もだ。

呼んだことを忘れちゃうのかなぁと思っていたけど、そうではないようす。

サーちゃんは呼んだことも話した内容も覚えている。

じゃあ、なんでこんなにすぐにまた呼ぶのだろう?

これは私の勘だけども。きっと、サーちゃんの頭の中は、いくつものことを一度に考えたり、順序だてたりすることが難しくなってきているのだと思う。

とにかく「これを伝えなきゃ」というものが出てきたら、それしかない。

伝えなきゃということで頭がいっぱいになっているんじゃないかあ。

サーちゃんはどんなことを考えているんだろう。
どれくらいのことを覚えていて、どれくらいのことを忘れているんだろう。何が不安で、でも不安だと言えないんだろう。

もし私の勘が正しいとしたら、サーちゃんの「すぐに何度も呼ぶ」というのは、「これを伝えなきゃと思うことがあるのに忘れちゃったらどうしよう」という不安が引き起こしている結果じゃないかな。

だからああいう切羽詰まったような声になるのかも…。

「もう忙しいのに!」とお母さんの不安や緊張に引きずられることなく、「どうしたの?」と穏やかに言えるように、意識していこうと思った。

(Midori Rahma Safitri)

※この記事は、noteに 2019年11月12日初出したものです(noteアカウント不調のため移動)

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