
幼稚園のママ友たちと話をしていたら、愚痴がはじまった。
夫が全く家事をしないという話だった。
聞きながら、あれ?そういえば、うちの夫は家事を手伝うになったぞ、と思った。
「うちもそうだったけど、今は皿洗いなどを手伝ってくれるよ」
そう話したら、ママ友たちは「そんな男の人、ロンボク島では1000人に1人だよ!!!」と私を睨んだ。睨んだのはもちろん冗談だ。
えええー、いいなぁ、どうやって手伝ってくれるようになったの?
質問されたが、夫の心境の変化が私にはわからなかったので、夫に聞いてみることにした。
*
たしか、夫が家事をしはじめたのは下記のような経緯だった。
その頃彼は鬱っぽくて、仕事にもいかずほとんど家に引きこもり状態だった。どこかへ行くとしたら、夜に友達の家へ行く程度。コーヒー飲んでタバコ吸って動画をみてグダグダ過ごしていた。
私自身も鬱を経験したことがあるから、こうなるのはよくわかった。
仕方ないのだけど、いつまでもこうなのは本人も辛かろうと思い、様子をみては家事の手伝いを頼むようになった。
お砂糖がきれたから買ってきてとか、洗濯物を畳んでとか、お母さんに紅茶淹れてあげてとか、ね。
じっとしているとついついあれこれ思い悩んで不安が増長するので、なんでもいいから体を動かしていたほうがよい。
それに、家事を手伝えば私や娘にありがとうと言われるから精神的にもいいんじゃないかなぁ。
夫はサッと手伝ってくれる日もあれば渋々手伝う日もあったが、お願いしたことはほぼ手伝ってくれた。でも、頼まないとしてくれなかった。
それがある日を境に、自発的に皿を洗うようになった。
*
「ねえねえ、なんで急に家事を手伝ってくれるようになったの?」
まずは直球で夫に尋ねた。
私の頭のなかでは、夫が「みどりが大変そうだったから」とか言ってくれるのかなぁと妄想大暴走。返事をきく前からニヤニヤしていた。
なんたって、自発的に手伝ってくれた初日に、I LOVE YOU なんて張り紙をしてくれる人だ。嬉しすぎて投稿したもんね。
ふふふ、夫は私のことを思いやってくれているんだもん♪
それに、優しい人なんだもん♪
夫は私の質問に答えてくれなかった。
マァマァ照れずに教えてよ~。
期待は高まるばかり。
「今日ね、幼稚園でこんな話をしてね。1000人に1人だって言われたよ」
夫の鼻がピクッと動いた。まんざらでもなさそうだ。
「だから理由を知りたいの。教えて、プリーズ」
夫はそれならというふうに、モゴモゴと答えた。
「え…汚いのはイヤだなぁって」
「は?」
私は耳を疑った。
汚いって言わなかった?今?
「台所とか部屋とか、汚いのイヤじゃん。だから片付けようと思ったんだ」
えっと…じゃあ、あなたが家事をするようになったのは、私の家事レベルが低かったから…ってことですかね?
私は情けなすぎて夫に確認できなかった。
翌日、幼稚園のママ友たちに理由を話した。
「アッハハハハ! だったら、私も家事やめるわ!!!」
家事炊事みんなでやめれば怖くない。
(Midori Rahma Safitri)
※この記事は、noteに 2019年11月6日初出したものです(noteアカウント不調のため移動)
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